蛋白質の柔らかいダイナミクス
名古屋大学情報科学研究科(人情は組織替えで情報科学になりました) 笹井理生
オーガナイザー 東京大学大学院・理学系研究科 榎 佐和子、鎌形 清人
20種類のアミノ酸からなる一本の紐である蛋白質が、どのように形作り、生体の機能を担うようになったのかというのは、多くの皆さんが感じている興味深い謎であると思います。個性の違うアミノ酸が集まり、様々な相互作用をすることによって、蛋白質は多様な性質を持つことができます。また、進化の過程を通じて、生体全体が生物らしく柔軟に働けるように蛋白質は設計されてきたはずです。
では、そんな蛋白質はどんな性質を持つように設計されてきたのでしょうか?一つの重要な性質は、やわらかいダイナミクスを持っていることです。蛋白質は生体内で大きな揺らぎを持ち、予想以上に多くの構造をとることが明らかになってきており、機能との関係も報告されています。
今回お話していただく笹井先生は、個性のある要素が相互作用することによって生まれるダイナミカルな性質を理論的に研究しておられるこの分野の第一人者です。蛋白質のこのようなダイナミカルな性質を論じ、その性質が生まれる原理、機能との関わり、さらには多様な蛋白質が織り成す生体全体のやわらかいダイナミクスまでも、お話していただける予定です。
本分科会では、基本的な考え方から研究の発展まで、実験との対応を含めて、わかりやすく話していただけると思いますので、みなさん奮ってご参加ください。蛋白質のやわらかいダイナミクスを通して、生き物らしさについてみんなで考えてみましょう。